「つるかめめしべ」 展について 2014年10月11日~12月7日

 

すべての存在には意味、理由があります。すなわち情報があるのです。

しかし、その殆どの意味や理由を知らないうちに時は過ぎ去り、それを知る機会も命の限りと共に失ってしまいます。

過去から教訓という情報を得ない人は同じ間違いを繰り返して、また次の世代、その次の世代へと物理的な意味でのDNA情報という命を繋いでいくだけであり、その一方では人の思いや願い、警告、念という情報は殆どが次の世代に受け継がれることなく、無限のループとなってそこに留まり、漂っています。

どうすれば先人たちの智恵の情報の痕跡を洗い出し、私たちの血や肉とし、彼らの価値観を共有できるのか。そしてそれを次世代に情報伝達の橋渡しする事ができるのか。

僕がそうであるように、当然の様に昔の人も、伝えるべき思いや大切な教訓を作りだした物や築き上げてきた社会に刻んでいったにちがいないのです。ですが、本当に大切なものは簡単に見えない情報なのです。

僕の物つくりのテーマの最も根幹になっている部分はコミュニケーション論で

人は自分が発信した思いや大切な情報がどのように交換、共有し、伝波してゆくのだろうといった疑問と興味が発端でした。

20世紀後半は合理主義的な考え方が隆盛をほこる時代で目に見えないものを無視してゆくような時代の流れでした。

私自身は逆に見えない部分の今までに軽んじられてきた情報にこそ真理があるのではないかと重要性を感じ、その見えないものの情報伝達の構造を知りたいと強く思うようになりました。

かといって、見えないものが、すぐに感じるようになるわけではなく、その領域にアクセスする方法を考える日々でした。

言葉や行動、五感で認識出来るものを外的なコミュニケーションとするとテレパシーや眼に見えない力の作用は第六感による内的なコミュニケーションとなります。

内なるものと外なるものは表裏一体であり、外的な物を見て形式的に理解するのではなく、先人達が作りだしたものを自らの体に摺りこむように感じる事で未知なる内の領域にアクセスできる扉が開かれるのではないだろうか。

近年の私の制作の傾向として過去から日本や世界で使われてきた形や文様といったものに

込められた意味や概念を自分の作品に意識的に組み込んでゆく試みをしています。

実践することで新たにアンテナが過去からのメッセージをキャッチしないかと。

例えば陰陽の関係性です。この対比というのは日と月の概念あらわしていて、それはイコールでバランスを表す。そのバランスが意味することはこの宇宙であり、あらゆる生命が営み、均衡を保つ世界である。宇宙的な生命力の循環を表します。

例えば鳥は神からの言葉を伝える役割があり、情報をもたらし、智を表します。

鳥が世界中を回り、空から幅広い視野で見渡すように、社会を見渡し、未来を見通す力を表します。

日本で昔から使われてきた形、文様これらには過去の日本人が伝えようとした概念や智恵があるのです。意図的に日本的な形、象徴的な霊獣、紋様を配し、彼らの情報伝達の構造を共有したいからなのです。

形式というものは大切なのですが、本当の重要な情報は形式の奥に見えないように存在しているものなのでしょう。

彼らは何を伝えたかったのか?警告なのか?そしてそれらを現代人はどう読み解き、自らの遺産としてゆくのか?