雷母の桴  2010年

 

雷というのは雨を降らせて大地を潤すという事から五穀豊穣という概念を有する。

 

そして母という存在は次世代を育てる愛情をもった存在といった概念であるので大地を

 

し、実りをもたらすという五穀豊穣と共通している。雷と母は同じような意味を持ち、同

 

系統の両概念を組み合わせた言葉は豊穣を強調する表現となる。

 

桴(ばち)は雷神が持つ太鼓をたたく道具で雷鳴を轟かせ魔を祓い、雨をもたらす。雷

 

神を象徴する大切なアイテムとなる。うねる雷母の体は龍の様であり、龍というのもまた

 

水脈、エネルギーを表し、人々に富や権力をもたらしてくれる意味をもつ。

 

福岡の人には馴染み深い太宰府天満宮の菅原道真公は神様としても色々な顔を持っています。

 

人間である道真公が神として祀られ天満宮信仰となったのも本は怨霊信仰というものが

 

始まりでした。道真公を太宰府に左遷し、権力の中枢から追い出した後、藤原家に起こ

 

る災難、特に雷が屋敷に落ちた事は道真を祟り神として祀る大きな動機になったようで

 

す。雷を落としたとして畏れられた道真公は後に雷と雨が大地を育むとして五穀豊穣の

 

神となります。その後、私たちが知っている学問、受験の神として祀られるようになった

 

のです。